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三輪 一爾; 行川 正和*; 島田 太郎; 武田 聖司
MRS Advances (Internet), 7(7-8), p.165 - 169, 2022/03
本研究では、地表流と土砂移動により生じる地表面における核種移行を土中の鉛直核種濃度と粒径に応じた核種濃度を考慮して評価する方法を作成した。作成した核種移行評価法により、水平方向に均一なCs-137の初期汚染分布を有する仮想的なサイトにおいて1年間の核種移行評価を実施した。その結果、Cs-137がサイト内の窪地に集中することにより初期汚染分布濃度と比較して20%程濃度が上昇した。また、地表面における核種移行により、初期汚染分布の総核種量の0.18%が海洋へ流出した。これらの結果から、廃止措置終了確認における被ばく線量評価において地表面における核種移行を考慮することで、サイト内における外部被ばく線量の上昇と海洋へ流出した核種による水産物摂取による内部被ばく線量の上昇の可能性が示唆された。
馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖
Surface Science, 593(1-3), p.324 - 330, 2005/11
被引用回数:6 パーセンタイル:30.07(Chemistry, Physical)極低温(9K)で凝縮した固体窒素表面を、低エネルギーHeイオン照射により高密度励起したときのイオン脱離機構について検討した。3keV Heイオン照射では、n=30までのクラスターイオン(N)の脱離が観測された。脱離強度はn=4までが大きく、n5では急激に減少した。またn5のクラスターイオンでは、偶数個のクラスターが隣接する奇数個のクラスターより常に大きかった。これらのクラスターイオンの分布は、気相における窒素クラスターイオンの安定性と一致した。また、比較のため測定した固体酸素,固体メタン,固体アルゴンからのイオン脱離強度も、それぞれの気体の気相での安定性と類似の傾向を示した。クラスターイオン分布の照射エネルギー依存性と、イオン照射部の時間に依存した温度分布の計算結果から、クラスターイオンの脱離は、イオン照射部分の局所的,瞬間的加熱による気化現象で説明できることを明らかにした。
椎名 保顕; 西原 哲夫
JAERI-Tech 2004-057, 51 Pages, 2004/09
本研究では、昨年(2002年)に引き続き水素とDMEに着目し、高温ガス炉の核熱をトータルに利用してそれらを製造するシステムを検討して経済性評価を行い、商用プラントで生産する場合との比較を行った。その結果、水素製造に関しては、高純度ガスを生産するPSAの段数を増やして回収率を高めること等により、商用プロセスと比べて高純度水素ガスの製造単価を約17%、また、間接法によるDMEの生産の場合にも高純度水素を回収する等の工夫を加えることにより、商用プロセスに比べて約17%安く生産できることが示された。しかし、DME生産に関しては産油国で生産する方が安価であり、現在のところ核熱を用いても国内で生産する経済的優位性はない。本評価から、天然ガスからの水素製造に関しては核熱を利用すると経済的であること、さらにCO削減効果も併せると核熱の有効性はさらに高まることが示された。
椎名 保顕; 桜木 洋一*; 西原 哲夫
JAERI-Tech 2003-076, 52 Pages, 2003/09
水素エネルギーは2020年頃の普及を目標に開発が行われている。しかし、水素の利用が社会の隅々まで普及するには長い時間がかかると考えられ、それまでの間、液体燃料と水素が併行して使われるものと考えられる。近年、そのような見地から、DME等の石油代替燃料が注目されてきている。それらは、水蒸気改質法により製造される合成ガスから作ることができるため、水素とともに高温ガス炉の核熱を利用した化学プロセスの候補になりうると考えられる。そこで、本研究では、水素とDMEを取り上げ、それらを商用プラントで生産する場合と熱源として核熱を利用して生産する場合について経済性評価を行った。その結果、一般産業による製品に比べて核熱を用いて生産した方が、水素の場合には約7%程度、また、DMEの場合は約3%程度安くなることが示された。CO削減効果を評価すると、核熱の有効性はさらに高くなる。
土屋 文*; 森田 健治*; 山本 春也; 永田 晋二*; 大津 直史*; 四竈 樹男*; 楢本 洋
Journal of Nuclear Materials, 313-316, p.274 - 278, 2003/03
被引用回数:1 パーセンタイル:10.87(Materials Science, Multidisciplinary)あらかじめ水素をイオン注入したグラファイト試料に60~200keVのエネルギーでヘリウムイオン照射を行ない、水素の再放出過程を16MeV Oを分析ビームに用いた反跳粒子検出法を用いて調べた。グラファイト中の水素濃度は、ヘリウム照射により急速に減少し、さらにヘリウム照射量が増加すると水素/炭素の比が約0.2の一定値に達した。グラファイトからの水素再放出は、ヘリウムの照射エネルギーが低くなるとともに増加した。この実験結果を質量平衡方程式により解析した結果、このヘリウムの照射エネルギー範囲では、ヘリウムよってはじき出された炭素原子と水素との弾性衝突が水素の再放出の主な原因であることがわかった。
倉田 有司; 斉藤 貞一郎*; 辻 宏和; 高津 玉男*; 新藤 雅美; 中島 甫
JSME International Journal, Series A, 45(1), p.104 - 109, 2002/01
クリープ強度の高いNi-Cr-W超合金は、1000付近の高温で使用可能な鍛造合金であるが、溶接割れ感受性が非常に高い。この合金を実用化するためには、溶接性の優れた溶加材を開発することが必須である。微量元素量の異なるNi-18.5Cr-21W合金の数多くのヒートを用いて、ビードオンプレート,肉盛溶接,曲げ試験などの溶接性試験を行った。Ti,Mgの適量添加は改善効果をもたらす一方、Zr,Y,Bのような元素は溶接割れ感受性を著しく高める。このような知見をもとに、Ni-Cr-W超合金用に溶接性の優れた溶加材を開発した。これらの溶接ワイヤを用いてTIG自動溶接により製作した溶接金属について、900~1050でクリープ特性を評価した。溶接金属は、1000,10万時間で10MPaのクリープ破断強度をもつ母材と同程度のクリープ破断強度を有すことがわかった。
倉田 有司; 斉藤 貞一郎*; 辻 宏和; 高津 玉男*; 新藤 雅美; 中島 甫
Proceedings of the 7th International Conference on Creep and Fatigue at Elevated Temperatures (CREEP7), p.93 - 99, 2001/06
クリープ強度の高いNi-Cr-W超合金は、1000付近の高温で使用可能な鍛造合金であるが、溶接割れ感受性が非常に高い。この合金を実用化するためには、溶接性の優れた溶加材を開発することが必須である。微量元素量の異なるNi-18.5Cr-21W合金の数多くのヒートを用いて、ビードオンプレート、肉盛溶接、曲げ試験などの溶接性試験を行った。Ti,Mgの適量添加は改善効果をもたらす一方、Zr,Y,Bのような元素は溶接割れ感受性を著しく高める。このような知見をもとに、Ni-Cr-W超合金用に溶接性の優れた溶加材を開発した。これらの溶接ワイヤを用いて、TIG自動溶接により製作した溶接金属について、900~1050でクリープ特性を評価した。溶接金属、1000、10万時間で10MPaのクリープ破断強度をもつ母材と同程度のクリープ破断強度を有することがわかった。
濱松 清隆; 福山 淳*
Plasma Physics and Controlled Fusion, 42(12), p.1309 - 1320, 2000/12
被引用回数:19 パーセンタイル:51.23(Physics, Fluids & Plasmas)ITER級トカマクの周辺領域(r/a70.3)での基本波O-モードによる電子サイクロトロン電流駆動を光線追跡法により数値解析した。目的は、標的とする磁気面に最局在する電流(密度最大、径方向の幅を最小)を駆動することである。入射方向をトロイダル方向とポロイダル方向の両方向に変化させて数値解析し最適な入射方向を求めた。また、最適入射された光線は、相対論効果により周波数降下する第2高調波共鳴を避け、同時に光線が標的とする磁気面と接する所で電流を駆動(接線共鳴)することを示した。さらに、最適な波動入射位置と波動周波数を探索した。その結果、磁場が5.5T、中心温度30keVの場合の最適入射条件は、入射位置が赤道面上方70度かつ波動周波数が180GHzである。この時、1MWの入射パワーに対して電流密度の最大値は30~70kA/Mの範囲で、また、電流の広がりは小半径の3%以内で制御可能であることを示した。
倉田 有司; 斉藤 貞一郎*; 辻 宏和; 高津 玉男*; 新藤 雅美; 中島 甫
日本学術振興会原子炉材料第122委員会資料集, p.279 - 282, 2000/11
クリープ強度の優れたNi-Cr-W超合金は、1000付近の高温で使用可能な鍛造合金であるが、溶接割れ感受性が非常に高い。この合金を実用化するためには、溶接性の優れた溶加材を開発することが必須である。微量元素量の異なるNi-18.5Cr-21W合金の数多くのヒートを用いて、ビードオンプレート,肉盛溶接,曲げ試験などの溶接性試験を行った。Zr,Y,Bのような元素は溶接割れ感受性を著しく高めるが、Ti,Mgの適量添加は改善効果をもたらす。このような知見をもつに、Ni-Cr-W超合金用に溶接性の優れた溶加材を開発した。これらの溶接ワイヤを用いてTIG自動溶接により製作した溶接金属について、900~1050でクリープ特性を評価した。溶接金属は、1000,10万時間で10MPaのクリープ破断強度をもつ母材と同程度のクリープ破断強度を有することがわかった。
川面 澄*; 竹島 直樹*; 寺澤 昇久*; 青木 康*; 山本 春也; 梨山 勇; 鳴海 一雅; 楢本 洋
JAERI-Review 99-025, TIARA Annual Report 1998, p.188 - 190, 1999/10
MeV領域のH, He, CイオンをCu, CuO, Ni, NiOに入射して、内殻多重電離過程で誘起されるX線スペクトルの精密測定を行い以下の結論を得た。(1)Cu原子からのLX線の測定では、たとえばターゲットがCuとCuOとの場合に、L線, L線のエネルギー領域で顕著な違いが見られた(2.5MeV He入射の場合)が、定量的評価が必要。(2)入射イオンの原子番号が増すと、エネルギー/核子をそろえた場合でも、特性X線のほかにいわゆる衛星線の発生によりスペクトルが複雑化する。そこで多重電離過程を利用した化学シフトの研究では、ターゲットとの組合せを考慮した入射イオンの選択が重要になる。
斉藤 貞一郎*; 倉田 有司; 高津 玉男*; 辻 宏和; 新藤 雅美; 中島 甫
JAERI-Research 99-036, 99 Pages, 1999/05
1000Cでの使用を目指した高温ガス炉用Ni-Cr-W合金の開発研究では、溶接用溶加材の開発が残された重要な課題である。Ni-18.5Cr-21Wを基本組成とした合金について溶加材の開発を行い、以下の結果を得た。(1)Ni-Cr-W合金では微量元素の量や熱処理条件が溶接割れ感受性に大きな影響を及ぼし、母材と同じ組成の合金では安定して良好な溶接性が得られない。(2)脱酸効果や脱硫効果のある元素の量を増加させても、耐溶接割れの改善効果はあまり認められないが、Ti,Mgの適量添加により若干の改善効果が得られる。(3)Zr,Y,Bなどの元素が溶接割れ感受性を著しく高めていることがわかり、これらの元素の量を低く抑えることにより良好な溶接性を持った溶加材を開発することができる。
中島 幹雄; 佐川 千明
Radiation Physics and Chemistry, 53(1), p.31 - 36, 1998/00
被引用回数:1 パーセンタイル:15.02(Chemistry, Physical)多孔質ガラスに担持した鉄酸化物微粒子を、40keVMeイオンで照射すると、Feが3Feへの還元反応が起きた。この反応をメスバウアー分光法で追跡した。Fe収率は、イオンの全照射量とともに増加し、最高約80%に達した。この異常な収率は還元反応がHeイオンの飛程を超えて起きていることを示している。さらにFe収率は明らかな線量率依存性を示した。
倉田 有司; 斉藤 貞一郎*; 辻 宏和; 高津 玉男*; 新藤 雅美; 中島 甫
JAERI-Research 97-032, 20 Pages, 1997/05
Ni-Cr-W系超耐熱合金を実用化する上で、残された課題である溶接用溶加材を開発するため、微量添加元素の量を調整して溶接割れ感受性を低下させ、手動TIG溶接により試作した3種類の溶接継手F,P5,P6の900~1050Cにおけるクリープ破断特性の評価を行った。試作継手のクリープ破断時間は、母材(1000C,10万時間のクリープ破断強度10.8MPa)と同程度かわずかに短く、高温で使用する溶接継手としてはかなり優れたクリープ破断強度を示した。溶接継手の破断位置は900Cでは母材、1000C,1050Cと高温になるに従い、溶接金属となった。ボイド、クラックは、母材あるいは溶接金属の結晶粒界に形成した。今後、自動TIG溶接用の溶接ワイヤの開発を行い、溶接性、クリープ特性、耐食性等に優れたNi-Cr-W系超耐熱合金用の溶加材を開発していく予定である。
中島 幹雄; 佐川 千明
Applied Radiation and Isotopes, 48(5), p.579 - 586, 1997/00
被引用回数:1 パーセンタイル:14.47(Chemistry, Inorganic & Nuclear)多孔質ガラスに担持した鉄酸化物の水素還元挙動及びイオン照射効果をメスバウアー分光法を用いて調べた。担持された鉄酸化物は四極子分裂を示す2つのダブレットから成るスペクトルを示し、-FeO微粒子であると結論した。水素還元によって配位数の異なる2種のFe化学種が生成し、四極子分裂を示す2つのダブレットが得られた。40keV Heイオン照射でも、同様に2種のFe化学種が生成し、水素還元の場合と類似のスペクトルが得られた。この時Feの収率は約80%にも達し、Heイオンの飛程を超えて還元反応が起きていることが分かった。
江里 幸一郎*; 功刀 資彰
Microscale Thermophys. Eng., 1(2), p.137 - 142, 1997/00
異なる粒子(モノマー(3keV)、クラスター(32原子,100eV/atom))照射時の標的材料原子層の動的挙動を分子動力学法を用いて解析した。モノマー照射では標的原子層内に入射粒子が進入し、内部に高温域が形成された。2体相関関数の変化より入射粒子近傍の原子層は溶融し液体に近い構造になっているものと考えられる。また、クラスター照射では標的内原子表面にクレーターが形成され、その際、生じた高温高圧領域が原子層内部に伝播していく様子が観察された。その伝播速度は材料の内部の音速に近いことを示した。
笹瀬 雅人*; 三宅 潔*; 山木 孝博*; 鷹野 一朗*; 磯部 昭二*
Thin Solid Films, 281-282, p.431 - 435, 1996/00
被引用回数:6 パーセンタイル:38.98(Materials Science, Multidisciplinary)水分解用光触媒として興味がもたれている酸化チタン(TiO)薄膜を、低温で成膜が可能なイオンビームアシスト反応性蒸着(IBARD)法で作製し、TiO薄膜の表面構造の検討を行った。電流密度(Arイオン)0A/cmで作製されたTiO薄膜の表面は平滑であるが、電流密度30A/cmでは0.1~0.2mの大きさの粒子が観測され、Arイオン電流密度の増加とともにその粒径の増大が認められた。また断面SEM写真からIBARD法で作製されたTiO薄膜が柱状構造をしているのが確認された。さらに6つの異なる基板を用いてTiO薄膜を作製したが、表面構造に違いは認められなかった。それゆえ、イオン照射がTiO薄膜の表面構造の変化を引き起こしていたことが明らかとなった。
馬場 祐治; 佐々木 貞吉; 山本 博之; 笹瀬 雅人*; 鷹野 一朗*; 磯部 昭二*
Proc. of the Int. Symp. on Material Chemistry in Nuclear Environment, p.275 - 285, 1992/00
TiO及びVO表面の化学状態及び電気的特性におよぼすイオン照射効果について検討した。Arイオン照射により、これらの酸化物表面は、低次の酸化物(Ti(II),Ti(III)及びV(III)に還元される。また照射に伴いフェルミレベル近くにMetal3dに奇因するバンドの出現が認められるとともに、TiO表面の電気伝導度110ions/cmの照射量まで、照射量に比例して増大した。以上の結果にもとづき、イオン照射による表面電気伝導度変化の機構を、電子構造変化との関連において議論した。
柳下 文雄*; 鈴木 偉之; 山岸 義和
IWGGCR-22, p.52 - 59, 1990/00
本報は、高温工学試験研究炉(HTTR)の原子炉建家の設計用地震力を求めるのに用いている埋込みを考慮したスウェイ-ロッキングモデルの概要と、本モデルによる各種検討結果について発表するものである。その結果、同原子炉建家においては、埋込み効果により、地震力が低減することが確認された。
馬場 祐治; 佐々木 貞吉
Mater. Sci. Eng., A, 115, p.203 - 207, 1989/00
110Paの窒素ふん囲気下で各種金属にArイオン照射を行い、表面の生物及び反応機構をSIMSXPSにより解析した。金属チタンをターゲットとした場合、SIMSにおけるTiN/Ti比は、窒素導入とともに増大し、標準試料TiNの約94%で飽和する。この経時変化曲線を解析することにより、Arイオン1個当り約20個のTiNが表面に生成することがわかった。また、XPSにより求めたN/Me比(Me金属)の飽和値は、金属窒化物の生成自由エネルギーが低いほど大きい。この事実から、表面の窒化反応は、照射によって励起された局所的高温領域における化学反応によって起こることが明らかとなった。
馬場 祐治; 佐々木 貞吉
Journal of Nuclear Materials, 152, p.295 - 300, 1988/00
被引用回数:4 パーセンタイル:46.77(Materials Science, Multidisciplinary)TiOにイオン注入したヘリウムの捕捉状態をXPS及び昇温脱離スペクトル(TDS)により調べた。TiO表面は、1.5~11keVのHe照射によりTi及びTiに還元される。ヘリウムのTDSスペクトルには、460C(P)、590C(P)700C(P)にピークが認められる。ピーク強度のエネルギー依存性、照射量依存性及び加熱に伴うXPSスペクトル変化により、P及びPはそれぞれ、格子間及び酸素原子の欠陥にトラップされたヘリウムに対応すると考えられる。一方、Pは真空中におけるTiOの分解に伴い放出されるヘリウムに対応する。また、P及びPに対応するヘリウムの捕捉に伴う活性化エネルギーは、それぞれ0.56eV、1.68eVと見積もられた。